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連休前に読んだ2冊

2018-05-05 (Sat) | 09:16

 連休前に読んだ2冊(↓)を挙げておこう。


大宏池会の逆襲・大日本史
(左)「大宏池会の逆襲」 木下英治著 (右)「大日本史」 山内昌之・佐藤優著


 「大宏池会の逆襲」は池田勇人から始まる自民党内の"真ん中からやや左寄り"の派閥=宏池会の歴史を紐解きながら、その現在の領袖=岸田文雄の人物像と政治的スタンスを綴ったある意味かなり強力な「岸田文雄応援本」だ。

 それは即ち、ここ柳川を地盤とした宏池会出身の大物政治家=古賀誠や細かく分裂していた宏池会を再結集して「大宏池会」を作って影響力を増大させたい麻生太郎の政治的思惑も絡めた上で、ポスト安倍晋三は岸田文雄が適任という結論を導き出す本でもあるという事。

 まぁ僕は安倍さん支持な人なんだけど、石破茂は経済がダメだと感じていて、そういった意味では、次は岸田文雄が良いのではと思えてくる程度の情報を得られた本でもある。


 「大日本史」は現代日本人が知っておくべき幕末~太平洋戦争終戦期の濃密な歴史が"日本史を軸とした世界史"という観点から丁寧に紐解かれた傑作本。

 歴史学者=山内昌之氏と元外務官僚=佐藤優氏の対談形式で書かれている。

 これは世界の中で日本人が如何にして現在の日本人になったかの歴史的一端を知り得る本なので、ぜひ読んでもらいたいと思えるモノだ。

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ミュージシャンズ・ミュージシャン

2018-01-31 (Wed) | 19:16

 この前のアンディ・パートリッジのヤツもディープなマニアック本だったけど、今年2冊目の本はもっとポピュラーな処で更にディープな本でね。

 楽器やレコーディング関連の専門誌では何かと"レコーディング時の"リファレンス・アルバムにしている"だとか、"最高に音が良いアルバム"だとか、"どうしたらあんなコード・チェンジを思いつくのだろう?"といった"その筋"(≒僕のような手合い)の人達の話題に頻繁に上ってきた言わば「ミュージシャンズ・ミュージシャン」の典型であり、且つ、70s末~80s初頭に莫大なセールスをあげたアーティスト=スティーリー・ダンの伝記本(↓)を読み終えた。


スティーリー・ダン・ストーリー
「スティーリー・ダン・ストーリー:リーリン・イン・ジ・イヤーズ完全版」 ブライアン・スウィート著


 広く知られているように、モダン・ジャズの強い影響とそれに並走したR&B(今時のボーカル入ブラック・ミュージックを全てそう呼ぶ風潮には強い違和感を覚える)やソウル・ミュージックの影響により普通のソコイラのミュージシャンではコピーすら出来ない複雑な(=芳醇な)コードを基盤にしている部分に親近感を覚える。

 従って、そもそもよく使うコード単体すらも理解出来ない人にはそれらを組み合せたコード進行を理解出来るはずもない。

 何も複雑なのが良いというワケじゃなくてね。

 ロック的衝動を示す"ハードさ"や"ウルささ"は僕自身大好きだし、若い頃身を捧げたフィールドだからよく分かっている。

 が、表層的な音の大きさや歪み具合だけじゃない、プレイヤーがいい曲に反応して白熱している様も又、ある種のロック的衝動になり得るという事に気付くべきだと感じてきた。


 さて、この本、彼らの「超売れないソングライター」時代から、「誰も自作曲をレコーディングしてくれないのなら、自分達でバンドを作ってレコーディングする」時代を経て、伝説の「全ての小節において最高のミュージシャンを何人も試して最高の音を作る」時代を経た後のソロ活動時代から昨年のスティーリー・ダンの片割れ=ウォルター・ベッカーの死去までを膨大な関連人物を登場させつつ、レコーディング機材等も所々触れつつ追った400頁を超える分量の本でね。

 そこには産業化していった70sロックの様子も垣間見えて興味深い。

 が、一番興味深かったのは、ジャズ・エイジであり、且つ、ロックンロールの誕生をも同時に体験し、ヒッピー・カルチャーをも通過した世代的音楽観とライフスタイルだ。

 物事をナナメ視線で見ながら、皮肉の1つでも吐き出すような視点。

 故に、「絆」やら、美辞麗句がアメアラレのような「ヨイショの連鎖」を死ぬ程嫌う僕には共感する部分も多かった。

 とりわけここ日本で根強い人気を持つステーリー・ダン(実質は2人のソングライター・チーム)に興味がある人には必読書。

今年最初の読本

2018-01-26 (Fri) | 19:23

 今年最初の本を読み終えた。

 ぼくが「暗黒の80s」にプリンス、ケイト・ブッシュやトーキング・ヘッズと並んで"聴けた"数少ないアーティスト=XTCのメイン・ソングライター&ギタリストだったアンディ・パートリッジのソングライティングやギター・プレイに関するインタビューから構成された本でね。

XTC コンプリケイテッド・ゲーム
「XTC コンプリケイテッド・ゲーム:アンディ・パートリッジの創作遊戯」
               アンディ・パートリッジ/トッドバーンハート著


 実の処、上記アーティストの中で一番深く聴き込んでいたのがXTCだったんだよね。

 今でもはっきりと覚えている。

 ピーター・バラカンと鈴木さえ子がやっていたNHK FMの番組で「XTCの新譜です。 トッド・ラングレンがプロデュースしています。」っていう具合で例の1986年の歴史的傑作"Skylarking"から'That's Really Super, Supergirl'をオンエアーしたのを......

 僕が大好きなカンカンって鳴るスネア(実はユートピアのマルチからサンプリングされている)とフランジャーが掛かったシンセがパンニングする音像が「これはまったくトッドの音だ」って思ったんだよね。

 実際、ピーターは「一番トッドっぽいヤツをかけます」っていってこの曲をかけたんだ。

 僕の弟をして、今だにこのアルバムが「一番好きなアルバム」なんじゃないかな?


 イギリス人にしか生み出し得ない独特なロック/ポップっていうモノがある。

 このXTCや初期10CC、ジェントル・ジャイアンツなんかがそうだよね。

 この本ではそんなイギリス人の熟練ソングライターのある種の"方程式"をチラっと開帳してくれている。

 又、パンク/ニュー・ウェイヴ時代のホンモノ志向のソングライティングが熟練していく様をも垣間見せてくれる。

 が、それは、3コードのロックンロールの熱狂から音楽世界を変革してしまったビートルズのソングライティグの軌跡にも重なる。


 演奏なり、作曲なり、あらゆる音楽的技術の向上を志向するミュージシャンなら読んで損はない本。

Lookin' Back This Year For The Day Comin' 2017

2017-12-31 (Sun) | 18:00

 何とか大晦日に辿り着けた.....

 今年は恐らく今迄で一番仕事が忙しかった1年だった。

 特にこの年末は精神的にも肉体的にも確実に寿命を縮めたね。

 さて、6月頃から新作アルバムに取り掛かったけど、PCの寿命による移行作業や新規ソフト類のインストール不調等に、ついこの前迄悩まされていてね。

 従ってまだ完成予定をここで記す事が出来ない程の進行状況でね。

 取り敢えず、26分に及ぶ長尺曲のバッキングトラックが完全に仕上がった処なんだ。

 故に、こま新作アルバムは来年に持ち越しとなる。


 で、例年の如く今年よく聴いたアルバムを紹介しよう。

今年は時間がタイトな年末だったので、大変申し訳ないけど、音源リンクは省略させてもらいます。


 では、今年一番よく聴いたアルバムは、文句なしにコレ(↓)だった。

Ryley Walker-
Ryley Walker-"Golden Sings That Have Been Sung"


 実の処、このアルバムのリリースは昨2016年だったんだけど、国内盤は今年リリースたったという事でここでアップする。

 シカゴ出身のシンガー・ソングライターのアルバムでね。

 アコースティック・ギターの演奏技術に長けた人で、現代的音響をも備えた傑作。

 そんな印象からすると、何処となくジム・オルークを彷彿させる。


 次によく聴いたのがこのアルバム(↓)なんだ。


Nightlands-
Nightlands-"I Can Feel The Night Around Me"


 これは曲が実によく書けているアルバムだね。

 僕のような耳でも、繰り返して聴きたくさせる素晴らし曲とサウンド、ハーモニーがたっぷり詰まった作品。

 今風のレビューをすれドリーム・ポップ、ソフト・サイケデリアっていうようなキーワードが並ぶんだろうね。

 僕的に注目したのは、ソングライティングは言うまでもなく、コーラス関係も相当にビーチ・ボーイズを聴き込んでいる事を連想させるっていう事でね。

 恐らく、ハイ・ラマズ以来最も夢中になれた新譜だろうな。


次は、サンフランシスコの女性シンガー・ソングライターのこのアルバム(↓)。


Kacey Johansing-
Kacey Johansing-"The Hiding"


 これはドリーム・ポップの衣装を着た現代風フォーク・ミュージックっていう感じだね。

 所々に、ジャズっぽいリズム・ギターが入っていたり、浮遊感のあるコード進行を使っていたりして、何処となくティム・バックリィを思わせる部分もあったりする。


 次に紹介するのはロスのチカーノ(=メキシコ系アメリカ人の2世以降)バンドのアルバム。


Chicano Batman-
Chicano Batman-"Freedom Is Free"


 チカーノっていうと、古くは50sのリッチー・バレンスからちょっと前のロス・ロボスまで数々の優れたミュージシャンを輩出してきたシーンでもある。

 丁度ニューヨークにおけるイタリア系と同様に、ロスのチカーノ系って白人に差別される側であるが故、ブラック・ミュージックに親近感を持ち接近していく傾向がよく見られる。

 このバンドは、音楽的スタンスが少し前のフィッシュボーン当たりに近い気がする。

 つまり雑食性ブラック・ミュージックっていう感じが似ているという事。

 最も、黒人ではないけど.....

 フィッシュボーンはカーティス・メイフィールドの影響がほんの少し感じられたけど、このバンドにおいて同様の影響はシャギー・オーティスなのかもしれない。


 次は、70sブリティシュ・ロックのヒネクレ系(=10cc、XTC当たり)やポップ・プログレ系(=イエス、ジェネシス当たり)が好きな人には面白いと思えるこのアルバム(↓)をアップとておこう。


Schnauser-
Schnauser-"Irritant"


 イギリスのブリストル出身のバンドらしいが、70sの重厚な感覚ではなく、現代風の小気味良さがあったりする新時代プログレっていう感じ。



 あと、以下のアルバムも良かったね。


 ・アート・リンゼイ - "Cuidado Madame"
 ・アリエル・ピンク - "Dedicated To Bobby Jameson"
 ・コートニー・バーネット&カート・ヴァイル - "Lotta Sea Lice"
 ・ダーティー・プロジェクターズ - "Dirty Projectors"
 ・キティー, デイジー&ルイス - "Superscope"
 ・ネイト・スミス - "Kinfolk:: Postcards From Everywhere"
 ・セイント・ヴィンセント - "Masseduction"
 ・ソンゴイ・ブルース - "Resistance"
 ・トロンボーン・ショーティ - "Parking Lot Symphony"


 ここ迄は今年よく聴いた膨大なアルバムの内、新譜のみを紹介してきたけど、次はリイシューの番だけど、これが超不作でね。

 結局の処、以下の2枚位しかアップする程のモノはなかったんだ。


The Beach Boys-
The Beach Boys-"Sunshine Tomorrow"


 これは、1967年(つまり"Smile"頓挫の直後)のレア音源と初ステレオ・ミックス音源、ライヴ音源をコンパイルしたアルバムでね。

 この時期のホーム・レコーディング的チープさと偏執協的サイケデリックが入り混じった感覚が大好きなので、このアルバムはかなり楽しめた。


The Beatles -
The Beatles -"Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band [Anniversary Super Deluxe Edition]"


 ビートルズ音源の隅々を知り尽くしている僕のような熱狂的ファンからすると、何か新しい発見があったワケでもなく、ただ正規盤として良い音で聴けるという事のみしか価値を見出せないのが実情でね。

 でも、この録音芸術上の歴史的マスターピースの拡大版リイシューのイベントお祝いを兼ねていここに挙げてみた。



 実の処、今年は音源よりも、本が凄まじくいいモノが多かった1年でね。

 以下、いくつか紹介しておこう。



・「英国レコーディング・スタジオのすべて 黄金期ブリティッシュ・サウンドが生まれた場所」 著者: ハワード・マッセイ

英国レコーディング・スタジオのすべて 黄金期ブリティッシュ・サウンドが生まれた場所


 60s初頭のビートルズ出現に端を発するポピュラーミュージックの録音技術の革命がイギリスのスタジオ群の高次元の競争によってもたらされ、世界の音を変えてしまった事は最早説明する必要が無い程よく知られた事実だよね。

 これは、そんなスタジオレコーディング黄金時代のイギリスの数々のスタジオの音響特性や使用機材、そこで活躍したエンジニアやプロデューサーの紹介から伝説のエピソード等までを凡そA4版程度の大きさで約380頁に渡りまとめてある辞書のようなシロモノだ。

 何しろ所有マイクから果ては各スタジオの寸法まで記載されているのだから恐れ入る。ちょっと音楽かじっている程度の方ではほぼ全てチンプンカンプンなディープな技術本だ。が、真剣に音楽を書き、製作している自負があり、又そうなりたいと考えている人にとっては必携本だとも強烈に感じるね。一言で言うと超グレイトな録音芸術に関するバイブルって処だね。



・「コンプリート・モータウン」 著者: バーニー・エイルズ

コンプリート・モータウン


 モータウンに関する辞書のような本。

 B4版で凡そ400頁=厚さ3cmのシロモノでね。モータウンの歴史を貴重な写真やレコードジャケットやレーベルと共に丹念に時系列に沿って追った決定版であり、第一級の資料。



・「トニー・ヴィスコンティ自伝 ボウイ、ボランを手がけた男」 著者: トニー・ヴィスコンティ

トニー・ヴィスコンティ自伝 ボウイ、ボランを手がけた男


 これは読みごたえがあった本。

 もしこの自伝の主人公=トニーヴィスコンティを知らないっていう人がいたなら、ビートルズ、ディラン、ストーンズの時代から如何にしてロックは80sを迎える時点にまでたどり着けたのかという事を知らないという事になる。

 それはある意味、僕に言わせれば、音楽の事は何も知らないというのに等しい位の無知だと思う。如何にして時代を切り開いた音を作ったのかを学べる好著。ミュージシャンと自称するなら必携本。



・「デヴィッド・ボウイ ザ・ゴールデン・イヤーズ」 著者: ロジャー・グリフィン

 これまたとんでもない労作。

 デビュー~ベルリン3部作の期間を時系列で詳細に追った優れた資料本。

 いつ何処のスタジオで何という曲をレコーディングしたとか、いつ何処の会場でライヴをして何を唄ったとか、TV・ラジオを含めたまで書いてあるんだもの。

 又、貴重な写真も満載した辞典のような重量本。



・「ピンク・フロイド全記録」 著者: グレン・ポヴィ

ピンク・フロイド全記録


 この本は上記ボウイ本のフロイド版のようなモノでね。

 これまた辞典のような重量本。



 来年は出来るだけ早い時期に必ず新作アルバムを完成させたいと思っている。

 ちょっとだけ情報開示すると、それは僕が考える処の"プログレッシヴ・ミュージック"になる。

 単に世間一般で言われるような「プログレ」とは違う、本当の意味で広義なモノになると思う。

 さて、もう少しすると年が変わる。

 今年一年大変お世話になりました。

 新年早々、4日には早速脳の検査が待っている。

 その後、年末に工事した設備の試運転でまた鹿児島出張だ。

 では皆さん、良いお年を.....

おめでとうございます。

2017-01-01 (Sun) | 07:00

  A Happy New Year from Wizard 2017



         干支鳥




 新年明けましておめでとうございます。

 今年が皆さまにとって良い一年でありますように祈念しております。

 さてさて、年齢を重ねてくると段々時間の経過が早く感じられて仕方がないね。

 今年は相当な変化の年になるのかなぁ~。

 世界が「内向き」になってきている事が日々のニュースからよく分かるよね。

 「内向き」になるとナショナリズムが台頭し右傾化する傾向になるが故、「左側」に位置する連中が騒がしくなって仕方がない。

 その典型が民進党なる連中の一部とその他の弱小政党の「野合共済」系の手合いでね。


 僕も早50を過ぎ、今年もまっとうな社会経済活動で日々の糧を得ながら「究極のアルバムをこの手で作る」願望を抱きつつ日々が続く事だろうね。

 ただ、そんな願望と狂気の共存の中、病の後遺症とも戦っていかなければならないのは現在の僕には相当な難行であってね。

 でも色々言った処で、こんな日々が続くのが人生っていうモノだと思う。


 で、毎年恒例の干支に因んだ曲を紹介して終わりたいんだけど、酉年(=Chicken)で考えると際限なく曲を思い付きそうで困ったものだ。

 そこで、趣向を凝らすのは止めて、ストレートに僕が凄く大好きなこの曲(↓)を紹介する事にした。



The Meters - 'Chicken Strut'


 このリズムは僕が最も愛するヤツだ。

 どうして近頃の連中はシンコペートとスウィングを排除したスピード勝負のようなタテノリのリズムしか出来なくなったんだろう?


 では、本年も何卒宜しくお願いします。


 Bye Folks

Lookin' Back This Year For The Day Comin' 2016

2016-12-31 (Sat) | 13:17

 今年も恒例の今年のベスト・アルバム等を振り返る記事です。

 何だかこのブログを定期的に書くのが苦しい日々が続いた1年でもあった。

 兎に角仕事が忙しいのが根本要因なんだ。

 特にこの年末はホトホト疲れた。

 今日=12/31もさっきまで仕事をしていた位なんだ。

 それと、ちよっとした記事や所感は facebook で書くのが負担が少ないっていうのもある。

 それと今年は僕的には最高傑作という手応えを感じた新作2枚組アルバム= "Sound Sailin'" をリリース出来た事も誇らしかったね。

 ただ、そのお陰でこの数か月は完全に「燃え尽き症候群」状態でね。

 40年に渡るキャリアで得た音楽的技術を余す処なく注ぎ込んだ、これだけの曲と演奏・ボーカルがぎっしり詰まったアルバムを製作した後、一体「何処に向かって」、「何をモチベーションにして」新曲を書いてレコーディングすれば良いのかって考えると途方に暮れているっていうのが正直な処でね。

 何をしても"焼き直し"のように感じられてね。


 さて、今年も昨年同様に良質なアルバムが多かった印象。

 そんな中、ダントツに素晴らしかったのがポール・サイモン、御年74歳での傑作="Stranger To Stranger"(↓)だったんだよね。


Paul Simon-Stranger To Stranger
Paul Simon-"Stranger To Stranger"


 ポール・マッカートニーやストーンズがある種の"ナツメロ・ショー"的ツアーで荒稼ぎしつつ、過去の栄光を見事になぞったかの如くの新曲で現役感をキープしている(僕はそれ程それを酷い事態だとは感じていないが......)ここ数年のベテラン勢の新譜の中で、突出した現役感と「攻めの姿勢」を展開した1枚だね。

 老いても、「ベテランの味・枯れ」なんて"あってないようなモノ"に逃げない姿勢にポピュラー・ミュージックの"正当な老い方"を見たような気がするね。

 と同時にこのアルバムの共同プロデューサーにクレジットされているのがS & G以来、ポールのソロ作やディランの'Like A Rolling Stone'、ローラ・ニーロの名盤="New York Tendaberry"等の音を作ってきたCBSのエンジニア=ロイ・ハリー(彼は80代だと思う)っていうのがまた途轍もないサプライズだったよね。

 このオープニング・トラック(↓)からしてヤラれたね。


 
Paul Simon - 'The Werewolf'


 次点がこのアルバム(↓)だね。


Kandace Springs-Soul Eyes
Kandace Springs - "Soul Eyes"


 この人、生前のプリンスが結構バックアップしていたらしいんだ。

 で、ジャズで有名なブルーノートからのリリースから想像出来るように、ノラ・ジョーンズのブラック版のような路線と感じている人が多いみたいだね。

 が、僕が最も連想したのはロバータ・フラックだったんだよね。

 そう、ジャズ・ミュージシャンをバックにしたシンガーソングライターのような感触なんだ。

 プリンスもそんな感じを持っていたらしい。

 特にこのオープニング・トラック(↓)なんてダニー・ハザウェイとのコンビて゜活躍していた70s初頭のロバータ・フラックを感じさせる。



Kandace Springs - 'Talk To Me'


 演奏能力、ソングライティング能力に恵まれたホンモノのミュージシャンのホンモノの音楽がまだきちんと生きている事を実感させられる素晴らしいアルバムだね。


 次に、一時期夢中になって聴いていたこのバンドの新作(↓)が久しぶりに聴き応え充分だった。


Tortoise-The Catastrophist
Tortoise - "The Catastrophist"


 「ポストロック」っていうジャンルと共に語られてきた彼等だけど、今以って「ポストロック」という呼称に馴染めない僕にしてみれば、ここで提示されたロック、ジャズ、ダヴ、クラウトロック等をテクノロジーを以ってして有機的にミックスする手法は、方法論としては60sのビートルズやフランク・ザッパの偉大なる実験を通して既に体験済のモノなんだよね。

 ただ、ある時期=70s末~80s初頭のニュー・ウェイヴの頃に出現した従来のロック、フォーク、ソウルとは異質な音楽=レゲエ、現代音楽、クラウトロック(=ジャーマン・ロック)に基軸を置いた手法の現代的到達点に彼等のサウンドの本質の新しさ(と同時にある種の伝統性)があるように思える。

 つまり、僕にしてみればこのアルバムの良さとは、現代のニュー・ウェイヴの最良な部分を代表しているっていう事。

 では、このアルバムでつい聴き入ってしまうこのメランコリックな曲(↓)を紹介する。



Tortoise - 'The Clearing Fills'


 ハーモニーの動き(≒コード進行)が実に素晴らしいのと、リズムボックス的な音の加工処理が良いね。


 次は、リラックスした夜に最高なこのアルバム(↓)だ。

Mark Barrott-Sketches From An Island 2
Mark Barrott - "Sketches From An Island 2"


 言ってみれば彼はハウス、クラヴ・ミュージック系の人なんだけど、このアルバムに強く感じるのはブライアン・イーノが演っているのと同質のアンビエント・ミュージック的質感なんだ。

 だが、本質的にアンビエント・ミュージックと言い難い部分もある。

 だって、シンプルながら曲が進行するんだもの。

 アンビエントだと、進行しない。

 ひたすら1~4小節のフレーズをレピートする事が多いからね。

 それと、ここには、もっと高度なハーモニーがある。

 ある意味、70sソウル・ミュージックに近い感管すら感じられる。

 そんな意味ではこの曲(↓)辺りが分かり易いと思う。



Mark Barrott - 'Brunch With Suki'


 ここにマーヴィン・ゲイの 'What's Going On' を聴き取るのは容易い事だと思う。


 次は、聴いてみたら想像以上に良かったベテランのこのアルバム(↓)だ。


Iggy Pop-Post Pop Depression
Iggy Pop - "Post Pop Depression"


 何処となくデヴッド・ボウイとのベルリン時代の名盤を思わせる部分と現在進行形のガレージ系サウンドが上手くマッチングした良作だね。

 何でも本作がイギーのラスト・アルバムになるとの話も聞こえてきているけど、音を感じる事とそんな事はあまり関係ないね。

 その手の引退騒動はボクサーやアーティストのプロモーション手段の典型だからね。

 聴こえてくる音のみが興味と評価の対象だ。

 ではこのアルバムで僕が一番気に入った曲(↓)をアップしておく。



Iggy Pop-'American Valhalla'


 さて、今年のリイシュー関連ではこの豪華なボックス(↓)を挙げないワケにはいかないだろう。


Pink Floyd-The Early Years 1965-1972
Pink Floyd - "The Early Years 1965-1972"


 基本的に、僕は70s後半~80s初頭の所謂「ロジャー・ウォーターズ独裁時代」の曲は好きじゃないんだよね。

 何だかN渕のような臭いフォーク調の幼稚な曲を大風呂敷的「コンセプト」でクドクトと大袈裟に展開するようなシロモノばかりと感じられてね。

 その点、ここには大好きなシド・バレットの曲や、デヴィッド・ギルモアのギターがたっぷりと詰まっているのがいいね。

 ギルモアのギターってスタジオ盤だけでは充分にフォローし切れない部分が多いからね。

 そういう意味では、ライヴが数多く収録されたこのボックスには、ギルモアのギターって「こんなに凄かったんだ」って感じられる瞬間が多い。

 それと、大袈裟なビック゜・バンドになる前のアフター・サイケデリック時代の実験的なフロイドの姿がよく捉えられているのも好印象。

 ここでは音をアップしないけど、動画サイト辺りで探してみてもらいたい。

 特にポンペイのライヴ・ビデオ辺りがお勧めだね。


 それに続くのが僕が死ぬ程影響されたバンド=ザ・フーの傑作デビュー・アルバムのデラックス版(↓)だ。


The Who-My Generation [50th Anniversary Super Deluxe Edition]
The Who - "My Generation [50th Anniversary Super Deluxe Edition]"


 このリイシューもこの手の最近の傾向同様、あの手この手の水増しで拡大する手法で編纂されているのがちと辛いが......

 だけど、今日においてもオリジナル盤の歴史的重要性はこれっぽちも下がっていないのがこのアルバムの凄い処でね。

 簡単に言えば、オリジナル・ロンドン・パンクの起点だという事。

 兎に角、衝撃的な程にアメリカのソウル・ミュージックやブルースを白人アート・スクール系解釈を以って、ある種の現代音楽にも共鳴する音楽に変質させている部分に熱いモノを感じる。

 ギターのトグルスイッチを素早く動かしてマシンガン的な音を出したり、マイクスタンドに弦を擦り付けたり、フィードバックを大胆に使ったりっていう「新しい音を出す実験」を色々と試している処がアート系たる所以であり、現代音楽的でもある所以だ。

 で、その系統はある意味、ニューヨーク・パンクに引き継がれていると感じているのは僕だけだろうか? ニューヨーク・パンクはアート系出身が多い-----例えばトーキング・ヘッズとか。

 で、様々な(モノラルとかステレオ、フル・ヴァージョンだとか)些細な違いよりも僕の興味を惹いたのはDisc 5に収録されているピート・タウンゼントのデモなんだよね。

 実は僕、ピートのデモの熱狂的マニアなんだ。

 彼のデモは公式・非公式を問わずかなりコレクションしている。

 驚くべき事に、デビュー当時(1965年)で既に自宅スタジオでのワンマン・レコーディングで相当なクオリティのデモを作っていたっていう事でね。

 恐らく、最も初期に自宅スタジオを持ったミュージシャンだったはずだよ、ピートは。

 ここでの目玉は後に"Sell Out"(1967年)アルバムにアコギ弾き語りで収録されていたかなりジャズ、ボサノヴァ的なコード進行を持つ高度な曲='Sunrise'を既にこの時期にデモ・レコーディングしていたっていう事。

 知ってる人は知ってるけど、ピートって両親共がプロのジャズ・ミュージシャンだった事もあり、幼少の頃からジャズを浴びてきた後にロックンロールの波に衝撃を受けてその双方の影響が見える曲を書き始めたっていう経緯なんだよね。

 よって、オリジナル盤の歴史的意義とピートの素晴らしいデモを合わせて素晴らしいっていう事でここでピックアップした次第。


 次点は若い連中にこそ聴いて欲しいこの凄まじいライヴ・アルバムの拡大リイシュー盤(↓)だ。


Van Morrison-It's Too Late to Stop Now Vol. I II III IV & DVD
Van Morrison - "It's Too Late to Stop Now Vol. I II III IV & DVD"


 これは僕も大好きだった1973年ツアーからのライヴ・アルバム="It's Too Late to Stop Now"の拡大盤だね。

 そのオリジナル盤は今回Vol. Iとしてリマスターされており、同ツアーからのその他未発表ヴァージョンを残りCD3枚(=Vol. II~IV)にまとめてある。

 こういった本質的ソウル・ミュージックが理解出来ない世代が増えてきたね、最近。

 感情表現をボーカルに求める事が無く、寧ろサウンドの中の1つの記号としてしか聴けない感性が蔓延しているように感じる。

 ここでは予告編(↓)をアップしておこう。



Van Morrison-"It's Too Late to Stop Now (Trailer)"


 次は、DVDなんだけど、実は今年一番面白かったのがこのドキュメンタリー(↓)なんだよね。


フランク・ザッパの軌跡 1969-1973
"フランク・ザッパの軌跡 1969-1973"


 ザッパが最も実験性とポピュラリティを高次元で両立させていた時代を追ったドキュメンタリーだ。

 実に丁寧な日本語字幕が付けられているので、ザッパ初心者にもその世界感が分かりやすい点、と同時に、僕のような上級者にも嬉しい要素も多く収録されており総合点は途轍もなく高い。

 では、世界中のザッパ・ファンが最も一押しすると思われるこのジャズ・ロックの名曲(↓)を紹介しておこう。



Frank Zappa-'Peaches En Regalia'


 この曲をリーディング・トラックとした歴史的名盤="Hot Rats"は1969年作なんだよね。

 ちゃんと音楽の歴史を追えてる人ならそれだけでピンとくるハズだ。


 ジャズ・ロックをエレクトリック・ジャズという言葉に置き換えれば分かる。

 つまり、その手のジャズ(ここ日本では僕が絶対使わない「フュージョン」と言えば分かり易い)の先駆となったのが同じ1969年作の大傑作="In A Silent Way"だった事は皆が口にする定説なワケでね。

 が、同じ頃、ロック側からのアプローチとしてこんな先駆的名盤が生まれていた事を見落としている人が実に多いのが残念だ。


 さて、本の方も今年は豊作だったね。

 例の如くおびただしい数の本を読んでいるのだけど、その中で特に面白かったモノを以下に記しておこう。


 ・「パイドパイパー・デイズ 私的音楽回想録 1972-1989」 著者: 長門芳郎

   これは音楽通なら一度は聞いた事がある青山にあった伝説のレコード店=パイドパイパーハウスのオーナーであり、シュガー・ベイブや細野晴臣氏等のマネージャーをしていた著者の自伝。

   僕は遠い九州の人間としては幸運な事に、パイドに数回行ってレコードを購入した経験があるんだ。

 ・「自伝 鈴木茂のワインディング・ロード はっぴいえんど、BAND WAGONそれから」 著者: 鈴木茂

   御存知はっぴいえんどのギタリストの自伝であり、60s-70sの日本のロックの息吹が伝わる良作。

 ・「サウンド・マン 大物プロデューサーが明かしたロック名盤の誕生秘話」 著者: グリン・ジョンズ

   ザ・フーやストーンズ、ツェッペリン、ステーヴ・ミラー・バンド、イーグルス等の数々の名盤の音を作ってきたエンジニア系プロデューサーの自伝であり、春頃の この記事 でで紹介していたね。

 ・「フューチャー・デイズ クラウトロックとモダン・ドイツの構築」 著者: デヴィッド・スタッブス

   この物凄く分厚い本はクラウト・ロック(=ジャーマン・ロック)を相当な分量のドイツ文化の歴史と本質を交えながら紐解いた力作。

 ・「ポール・マッカートニー 告白」 著者: ポール・デュ・ノイヤー

   これはポールの長いスパンの渡るキャリアを1本の線上で総括した本。

 ・「自由民主党の深層」 著者: 大下英治

   自民党の歴史本だ。

 ・「乃木希典と日露戦争の真実」 著者: 桑原嶽

   これは日本人としてぜひ読んでもらいたい本だね。

   ある意味、司馬遼太郎の彼の有名な「坂の上の雲」のアンサー本とも言え、乃木大将と日露戦争の実像を書いた傑作。

12/25のツイートまとめ

2016-12-26 (Mon) | 04:16

Choco_Flwr

先日アップした"Too Much Insanity"と並ぶ僕の最高傑作であり僕なりのソウル・ミュージックの完成形だ。 https://t.co/gJEuZiMHyJ
12-25 21:03

11/20のツイートまとめ

2016-11-21 (Mon) | 04:23

Choco_Flwr

新作アルバム収録曲で、僕の40年に渡るキャリアの最高傑作だと思っているヤツだ。 https://t.co/4dL3IcqySs
11-20 16:19

11/13のツイートまとめ

2016-11-14 (Mon) | 04:30

Choco_Flwr

これはかなりトッド・ラングレン風の曲だね。 https://t.co/0CfK56YyIe
11-13 21:02

11/12のツイートまとめ

2016-11-13 (Sun) | 04:21

Choco_Flwr

つい最近まで僕の最高傑作だと思っていた曲。ピアノとボーカルのみの美しい曲。 https://t.co/3OKE0hyxtX
11-12 16:30

11/10のツイートまとめ

2016-11-11 (Fri) | 04:19

Choco_Flwr

これはアナログ・ミキサーでリアルタイム・タヴ・ミックスしたヤツだ。 https://t.co/n4vrakmta8
11-10 18:51

11/06のツイートまとめ

2016-11-07 (Mon) | 04:17

Choco_Flwr

これは新作アルバム中一番ハード & ヘヴィな曲だ。 https://t.co/rQlmmy1vL0
11-06 10:54

これも新作アルバムのDisc 1のラストに収録されている曲。 https://t.co/yD1V7iDLwx
11-06 10:42

11/04のツイートまとめ

2016-11-05 (Sat) | 04:17

Choco_Flwr

これはドラムスまで全てを演奏した大学時代のブルース曲。https://t.co/E0AryvH23q
11-04 20:00

これはポールマッカートニーに影響されたアコースティック曲。 https://t.co/ncKmJWW0SZ
11-04 20:00

11/03のツイートまとめ

2016-11-04 (Fri) | 04:17

Choco_Flwr

1986年のジャムだ。当時僕は21歳の若きミュージャンだった。 https://t.co/yVMvjXog55
11-03 19:31

これも新作アルバム収録のニューオーリンズ風の曲です。 https://t.co/Yqy8t4hmJU
11-03 14:05

新作2枚組アルバム収録曲です。 https://t.co/0j0KC2qZ3y
11-03 13:40

続プリンスの思い出

2016-05-04 (Wed) | 20:31

 この前プリンスの思い出はfacebookに書いた通り、一言で言えば「僕の時代の天才」っていう事なんだよね。

 で、プリンスに関する大量な記事がネット上を賑わせているけど、あと1世紀はアルバムをリリース可能(=アルバム10枚分)の音源が金庫に残されていたなんて記事もあった。

 プロ・アマ、有名・無名という、良質の音楽を創造する上で何の意味も見出せない分類に拘わらず、僕自身が自分のサウンドをレコーディングしているミュージシャン、ソングライターという意味では、ジミ・ヘンドリクスの死後みたいな「墓荒し」のような商業主義的リリースは止めておいて欲しいものだと感じる。

 そんなモノより本人が許可していた中にも目を見張るような音があったりするものだ。

 この豪華キャストによる "Rock and Roll Hall of Fame" におけるジョージ・ハリスンへの追悼パフォーマンスにおける彼の息を飲む程素晴らしくソウル溢れるギター・ソロ(↓)を聴いて欲しい。



Tom Petty, Steve Winwood, Jeff Lynne, Prince & Others-"While My Guitar Gently Weeps"

 彼がローリング・ストーン誌で「史上最も過小評価されているギタリスト」の1位に選ばれたのもよく分かるね。

 最も、熱心ななファンはとっくの昔に知っていたよ、そんな事......

音を作る事

2016-03-11 (Fri) | 20:08

 昨年末から怒涛の仕事ラッシュが続いています。

 連日のような鹿児島への営業と、長崎県の3市町へのプレゼンテーション資料作成と講演に疲れ果てていてね。

 でも、少しの時間を見つけて新作アルバムのレコーディングは精力的に続けているところでね。

 そんな中、変わらず読書も続けているのだけど、最近、久しぶりに面白い本を読破したんだ。

 それはこの本(↓)なんだ。


サウンド・マン
"サウンド・マン" (グリン・ジョンズ著)


 そう、音楽に関係してる人なら知らってないとウソになるような有名なイギリスのプロデューサー。

 僕にしてみると、どちらかといえばプロデューサーというよりエンジニアっていう感覚の人なんだよね。

 先日亡くなったビートルズのプロデューサー=ジョージ・マーチンが世界一有名なプロデューサーとすれば、間違いなく2~3番手辺りに位置する人だよね。

 60s後半辺りから台頭してきた歪みを生かしたハードなロック・サウンドをホットなままテープに収める事が得意な人でね。

 その辺りは同時期のジミ・ヘンドリクスの音を作っていたエディ・クレイマーと双璧だね。

 この人、有名なのは、勿論ローリング・ストーンズのサイケデリック時代から"ブラック&ブルー"辺り迄の70sの音を作っていた事だけど、僕にとって一番なのは、"What's Going On"と並ぶ生涯最も聴いてきた特大フェイヴァリット・アルバム=ザ・フーの歴史的名盤"Who's Next"の音を作ったという事なんだ。

 あと、未発表アルバムになったけど、ビートルズの"Get Back"(後にフィル・スペクターが"Let It Be"に作り直したアルバム)も彼が作った音だったんだよね。

 僕はスペクターの仕事をそれなりに評価するスタンスなんだけど、当のビートルズ自身が立てた元々の"Get Back"(≒"Let It Be")のコンセプト-----オーヴァー・タヴィングを排除し、スタジオのテクノロジーも極力排除した一発録り的な生身のビートルズを刻んだレコード-----に忠実な「ビッグなバンドの素の姿・演奏」をまとめた彼の"Get Back"も好きなんだ。

 とは言っても、"Get Back"は未発表アルバムだから普通に聴く事はかなわないアルバムなんだ。(ご想像の通り、僕はブートレグで聴いた)


 あと、レッド・ツェッペリンの1stも有名。

 僕的には初期のスティーヴ・ミラー・バンドの音も大好き。

 僕はあまり関心が無いイーグルスの最初の2枚のアルバムも彼の仕事。

 結局の処、ブリティシュ・ロックがシーンをリードし始めた頃に世界中に影響を与えた音を生み出したのは、ビートルズの革新的な音を作っていたエンジニア=ジェフ・エメリック、上記のエディ・クレイマー、そしてこの人グリン・ジョンズの3人だったという結論に辿り着く。

 ジェフの場合は言うまでもなく、中期ビートルズの「あの音」を作ったワケで、エディ・クレイマーもヘンドリクスのハード、且つ、サイケデリックな音を作った。

 エンジニアとしての僕はその2人により影響されている。

 グリン・ジョンズの場合は、それ程スタジオのテクノロジーによる音の変質やエフェクト処理に軸足を置いた音ではないんだよね。

 寧ろ、いいプレイヤーのいいパフォーマンスをそのままテープに収める事に秀でた人だね。

 故に、ミキサーでボリュームとパンニング(=各楽器の左右の位置取り)を決めればほぼミックスは終わるようなモノだったように思える。


 ジェフ・エメリックの自伝も凄く面白かったけど、この本もジェフの自伝に比べやや薄味ではあるが、きちんとした見識を持つ音楽関係者であるなら必読の本だと言えよう。

 あとは、エディ・クレイマーの本が出版されれば言う事なしだな。

Be Real, Not Fake

2016-01-02 (Sat) | 17:36

 前にも書いたかもしれないけど、若い頃はよく「今日は70s前半のピート・タウンゼントの日」だとか、「1965年のレイ・デイヴィスの日」だとか、「1971年のスライ・ストーンの日」といった想定で曲を書く事をやっていた。

 そんな訓練によって、僕は様々なソングライティング技術のカードを蓄えてきたんだ。

 そうしているうちに、その日の訓練から少しズレたような"僕自身のクセ"のようなモノがそこに混ざってしまう事が出てきた。

 今となっては、その繰り返しが本当の意味での所謂"オリジナリティ"の最初の発露だったと思う。

 最近の連中は何かと言っては鬼の首でも獲ったように「パクリ」という言葉を乱用するよね。

 が、それは自分のミュージシャンシップを棚に上げた上での安易な批評である事に気が付くべきだね。

 死ぬ程音楽を聴いて、曲を書いてきた僕の経験から言うと、偉大なミュージシャンやプレイヤー、ソングライターになればなる程、数限りのない「パクリ」を繰り返してきていると思う。

 それはリスナーとしても同じだと思う。

 「パク」るのには、それ相応の技術と経験と見識が必要なものだ。

 そういったある意味の「真のミュージシャンシップ」を持たないまま「クサいパクリ」を垂れ流すっていう事は、単なる「窃盗」の世界に成り下がってしまう。

 だから、若い人には多くの音楽に耳を傾け、「自分の趣味」といった「狭い世界」に埋没する事を避けて欲しいね。

 そこには、「自分の趣味」とは根本的に違うある種の「絶対価値」を聴き分ける耳を持つ可能性が開けている。

 僕にだって自分の好み=「趣味」の音っていうのがある。

 でも、「自分の趣味」=「絶対的な価値を有する音楽」とは限らないよね。

 そこを分けて考えて、聴き分ける耳と見識を持てば、自分の好きな音楽をけなされても、「絶対価値」に照らし合わせてそれが正しいのか否かを自分が決定出来るワケだから、ちっとも腹も立たない。

 それを突き詰めて行くと、デューク・エリントンが言ったように、音楽には2種類の音楽=「いい音楽」と「良くない音楽」しかないっていう事が理解出来てくるんだと思う。

 それを僕流に言えば、「いい音楽」=Real(ホンモノ)と「良くない音楽」=Fake(ニセモノ)っていう事だ。

 さてさて、年頭に当たってテレビやラジオから、数えられない程多くのFakeとほんの僅かのRealが垂れ流されている。

 これが、戦後にGHQがやってたようなある種の「洗脳プログラム」だとしたら、それはかなり巧く運んだと言わなくてはならないね。

 だって、Fakeだらけじゃない、プロもアマも。


In New Orleans

A Happy New Year from Wizard 2016

2016-01-01 (Fri) | 00:00

A Happy New Year from Wizard 2016

         2016年 猿のイラスト

 新年明けましておめでとうございます。

 今年が皆さまにとって良い一年でありますように祈念しております。

 さてさて、2016年=平成28年という事で早いものだね。

 ついこの前、新入社員1年目の初めての正月休みの帰省から東京に戻る道中の電車の乗り換えで降りた上野駅のホームで昭和天皇崩御の号外を受け取ったような気がする。

 あの「暗黒の80s」にリアルタイムに聴くべき音楽が少ないと言ってたのもついこの前のようだ。

 それだけ年齢を重ねたという事だろうけど、50歳も過ぎれば仕方ないね。

 昨年の長年の仕事(=ホーム・レコーディング)をまとめた10枚組アーカイヴ・ボックス・セット "Warwfousefull Of Soul"の中でも最も古い僕の音源は1984年だったワケだけど、実はそれ以前の70s終盤に録られた音源から僕の手元には残っているんだ。

 そう考えると、ここ柳川シーンの若い連中が生まれてもいない時代からコツコツと一人多重レコーディングをやってきたっていうワケだ。

 歳を重ね、病の後遺症に悩まされ、様々な事でレコーディングの現場では悩まされる事も随分増えた。

 でも、出来る処まで僕は、自分自身が聴いてみたいポピュラー・ミュージックを総括したようなベスト・アルバムを目指して続けていくだろうね。

 先般から何度か告知してきたように、今年リリース予定の完全新緑の2枚組ニュー・アルバム="Sound Sailin'"もCD 1は終了済。

 何とか早くCD 2を仕上げてリリースしたいものだね。


 さて、今年は恐らく衆参ダヴル選挙になるだろうから、若い人達には、自分が如何にして生まれて、ここまで生きてこられたのかをよく考えて投票に参加して欲しいと思う。

 結局の処、自分が直接的に放射能被害や戦争に行く事が無いまま(つまり自分の身の安全は担保したまま)、お祭り騒ぎに参加して後出しジャンケンの如く他人を批判する事はバカでも出来る最も恥ずべきアティチュードなんだと僕は思う。

 それは、すぐに○○救済コンサートやら○○救済運動だのといった、普段から自分の身の丈にあった心遣いを行っている者から見たら売名的偽善にしか見えないのと同じだ。


 こんな政治的発言は基本的には死ぬ程大嫌いで、そんな姿勢をダサいと感じる僕が最近この手の事を書く程に劣化した連中が多いという事だね。

 その点、フランク・ザッパは恰好良かった。

 相当難度が高い音楽を演りながら、「どうせ同じ男なら、金と女が嫌いなヤツはいないだろう?」とか、「同じ人間、どんなに恰好付けしても、死ぬ時はみんなブザマに死んで行くだろう?」っていうようなクールな視点である種の「人間社会学的」探求心を携えて、大統領選に出馬して世界を変えようという60sスピリッツをたぎらせて死んで行ったからね。

 僕もそんな視点に影響された一人だ。


 年頭から妙な話になってしまったけど、今年も内容のある良い音楽を作り続けて行きます。

 そして、柳川シーン(そんなモノがまだ残っているのならという話だが)の若い連中が少しでも「ホンモノの価値」を知り、そこから自分独自の音楽を作り出す事を願っている。

 今年も恒例の干支に因んだ曲を紹介して終わりたいんだけど、サルっていう事でビートルズの 'Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey' ってのは音楽演ってる人間なら誰でも(逆説的に言えば、この曲を思い起こせない人は顔洗って出直した方が身の為だ)連想する曲なので能がないので、この曲(↓)を紹介しておくね。



Major Lance - 'Monkey Time'


 この曲は偉大なるカーティス・メイフィールドのペンになる1963年のR&Bチャートでの大ヒット曲だ。

 僕も随分と影響されたシカゴ・ソウルの名曲でね。

 あと、スモーキー・ロビンソン(≒ミラクルズ)の1963年のヒット曲='Mickey's Monkey'っていうのも考えたけど、モータウンのヒット曲はまともに音楽の道を志しているのなら割合とよく耳にする事が出来るので、今回はこちらの方を選曲したんだ。

 では、本年も宜しくお願いします。

 Bye

Lookin' Back This Year For The Day Comin' 2015

2015-12-31 (Thu) | 12:08

 毎年恒例の今年のベスト・アルバム等を振り返る記事です。

 ここでも書いたように、クダラナイ左翼的ママゴトにうんざりした1年でもあったね。

 個人的には、6月に10枚組のアーカイヴ・ボックス="Warehousefull Of Soul"をリリース出来た事で長年の仕事をまとめられて一区切り出来た年でもあったね。

 さて、昨年の脳疾患の再発による手術→入院による身体的衰えと年齢的な衰えに悩まされた1年でもあったけど、何度かアナウンスしたように既に完全な新曲だけを収録したニュー・アルバムのレコーディングも進んでいる。

 今回は2枚組で"Sound Sailin'"というアルバム・タイトルになる事も決定している。

 既にCD 1のほぼ全てがマスタリングまで終了していて、何とか早い時期にCD 2を仕上げたいと考えています。


 さてさて、毎年リリースされている膨大な数のアルバムを全て聴くなんて事は出来得るはずもないけど、気になったモノは出来るだけ聴いている僕が選ぶ今年のベスト・アルバムを紹介してみよう。

 まずは今年の新録アルバムから。


 僕の事をよく知っている方はビックリするかもしれないが、今年最もよく聴いて、今後もよく聴くと思われる今年の僕のベスト・アルバムの筆頭はコレ(↓)。


Soggy Cheerios-Eeels & Peanuts
Soggy Cheerios - "Eeels & Peanuts"


 カーネーションの直枝政広とワールドスタンダードの鈴木惣一朗のユニット=Soggy Cheeriosのアルバム"Eeels & Peanuts"だ。

 キブソンのアコギを中心に据えたような音像に、実によく書けた曲が満載のアルバム。

 昨今の洋楽は勿論の事、邦楽でも味わえないロックの黄金期を知ってるミュージシャンによる優れたソングライティングを味わえる良質なアルバム。

 リーディング・トラックのこの曲(↓)「あたらしいともだち」は僕にポール・マッカートニーの一大傑作曲="Back Seat Of My Car"や"Ram On"を思い出させた。



Soggy Cheerios-「あたらしいともだち」


 だってこの人達、二人共ポールのアルバム"Ram"が大好きなんだもの。

 で、僕も死ぬ程大好き。

 元メンバーの全てのアルバム中、最もビートルズっぽいのが"Ram"だ。


 さて、上記のSoggy Cheeriosと並ぶ程大好きでよく聴いていたのがこれ(↓)。


Daniel Kwon -
Daniel Kwon - "Notes"


 このダニエル・クオンっていう人、フィラデルフィア出身の韓国系アメリカンで現在は日本を拠点に活動中らしい。

 このアルバムにはびっくりした。

 エレクトロニカ以降の音像の中にポール・マッカートニーのワンマン・ソロ作によく見られるような「一筆書きポップ」を落とし込んだような作風。

 大体、昨今のこの手のベッドルーム系はエフェクト処理と波形編集に主軸を置いた"音像"や"音響"を味わうようなモノが主流なのに、小粒ながら十分なポップさを兼ね備えている彼のような人は少ない。

 何だかベースもポールっぽさを狙ったようなのも多い。

 ビートルズ時代によく演ってた丸い音で1~2弦辺りをウネウネ泳ぐようなフレーズのあの感じ。

 このアルバムで最もポールっぽい意識したような曲がこれ(↓)。



Daniel Kwon - 'Judy'


 次は、久しぶりに僕の「ローファイ好き」を刺激してくれたこのアルバム(↓)。


U.S. Girls -
U.S. Girls - "Half Free"


 どうやらこのジャケットの女性=メーガン・レミーのプロジェクト名がU.S. Girlsという事らしい。

 全然知らなかった人だけど、ちょっと聴いただけで、90sに(僕を含め)音に敏感な連中が追いかけていたエンジニア=チャド・ブレイクがプロデューサー=ミッチェル・フルームとのコンビでリリースしていたローファイ系の音を思い出した。

 でも、アルバム後半になってくるとニュー・ウェイヴ的なシンセ・サウンドが出てきたりして、この人結構懐が深いなって印象。

 それと同時にローラ・ニーロ辺りから脈々と続く女性ならではのドロドロとしたヒステリックな感情表現も垣間見えたりする。

 好きになると止められないようなタイプのアルバム。

 このひび割れたような音像はある種のダヴ・アルバムとも言えるね。

 この印象的なアルバムのオープニング・トラックがこの曲(↓)。



U.S. Girls - 'Sororal Feelings'


 次のこのアルバム(↓)は、ある意味、現在ならではのジャズ・アルバムの在り方を示した佳作。


Brandon Coleman -
Brandon Coleman - "Self Taught"


 何でもこの黒人キーボーディストって近年ロスで盛り上がっている「シャズの延長線上にあるヒップホップ」や「ヒッホップをも呑み込んだ新しいジャズ」のシーン周辺で活動しているジャズ畑のミュージシャンらしい。

 基本的に聴いていて思い出されるのは、70s後半のスティーヴィー・ワンダーのプロダクション(そう、"Key Of Life"の頃の)やハーヴィー・ハンコックが演ってたシンセサイザーやボコーダーなんかのテクノロジーを取り入れたエレクトリック・ジャズ(大嫌いなフュージョンという名前は僕は使わない)の系統の音。

 そんな中に現代のヒップホップの影響を上手く落とし込んでいる感じ。

 簡単に言わせてもらえば、ハーヴィー・ハンコックのヘッドハンターズがそのまま現代まで活動していたらこうなっていたっていうようなアルバムでね。

 僕ら70s~80sをリアルタイムで体験した人間にとってはこのアルバム・ジャケットに居並ぶビンテージ系の機材も懐かしいね。

 で、このアルバムのリーディング・トラックのこの曲(↓)をアップしておこう。



Brandon Coleman - 'Never The Same'


 まあ、確かにスティーヴィーの影響も強いね。


 次は、近年アメリカのインディーズ・シーンを中心としてよく聴かれるようになった新世代サイケデリック・ミュージックとビートルズ、ビーチ・ボーイズ等の実験的ロック・アーティストの影響された第3世代(僕もこの世代)の狭間に位置した「大ヒットはないけど良質なロック・アルバム」を量産している・アーティスト群から出現したこのアルバム(↓)。


Mild High Club -
Mild High Club - "Timeline"


 このアルバムも物凄く愛聴したね。

 だって、ブライアン・ウィルソンやトッド・ラングレンを思い起こさずにはいられないような実によく書けた曲にジョージ・ハリソン調のツイン・スライドが乗っかったりしているんだもの。

 しかも、何とこのアルバム、マイルド、ハイ・クラヴというプロジェクトを名乗っている主人公=アレックス・ブレッティンがドラムスを含む全てのパートを4トラック・カセットレコーダーでレコーディングしたというモノでね。

 まるで僕自身のアルバムの別ヴァージョンでも聴いているかのような感覚に襲われたんだよね。

 相当に僕の趣味の「ド真ん中」に近いアルバム。

 最もブライアン・ウィルソンの影を感じたこの曲(↓)を紹介しておこうね。



Mild High Club - 'Windowpane'


 このレベルの曲を掛けるソングライターってそうザラにはいないよ。

 僕にとっては文句なしの今年一番気に入った曲。

 ところで、上に挙げたプロモ・ヴィデオをよく見てみて思ったんだけど、もしかしてここでの演奏シーンって、ポール・マッカートニーの'Coming Up'と同じアイデアじゃないの?

 つまり、本人が色んなメイクや衣装を着て多重人格的に合成した一人での演奏シーンではないのか?っていう事。

 それに、映像編集も何だかビートルズの"Magical Mystery Tour"みたいなサイケデリックにねじれるような感じだし、オマケに間奏にはジョージ・ハリソン的スライドは出てくるは、'The Fool On The Hill'みたいにリコーダーを吹いてたりして......

 故に、本人としては、ブライアン・ウィルソンではなく、ビートルズ(というか、ポール・マッカートニー)を狙った曲だったのかもしれないね。


 もう1枚今年の新譜をチョイスしておこう。

 それはこのアルバム(↓)。


Toro Y Moi -
Toro Y Moi - "What For?"


 この人も近年のベッド・ルーム系アーティストなんだけど、面白いのはアフリカン-アジアン-アメリカンという事でね。

 アルバムを聴いていると、一昔前のイタリア系、ユダヤ系、メキシコ系の連中が大挙してブラック・ミュージックに強く影響された音楽を演っていた(つまりアメリカ国内の被差別民族としての黒人の音楽に汲み取れるアイデンティティーに同じような被差別系であった連中がシンパシーを持ったという解釈が成り立つ)時代の末裔みたいな感覚を覚えてね。

 つまり、60~70sのブラック・ミュージックに影響された曲を極めて現代的なベッド・ルーム的プロダクションにて再現しているような音なんだよね。

 曲も良く書けている。

 特にオープニング・トラックのこの曲(↓)なんて........



Toro y Moi - 'What You Want'


 そう、誰がどう聴いてもシュープリームスなんだよね。

 あと、16ビート系カッティングを取り入れたライト・ファンク的な曲も結構聴けるよね。


 今年は全体的に新し目のアーティストの新譜が結構充実していた一年だったという感想でね。


 で、次はリイシュー物を紹介するとしよう。

 年々リイシュー物って超マニアックなコンプリート・セットが増えてきているよね。

 僕みたいなヘヴィ・リスナーにとっては昔では考えられないような「リスナー天国」のような感じなんだけど、色々と考えさせられる事も多いのも事実。

 1つは、昨今のCD不況と呼ばれる状況の中、アーティスト側はライヴ活動の収益で減収分を補うような動きなんだけど、レコード会社は、そのような方策がない為か、1つのCDをパッケージ化してオマケをテンコ盛りにした単価を上げて収益アップを計る方法論を取った結果のこのような豪華CDセット乱発状況が生まれているのでは?という事。

 結果、中にはボリューム増の為、過剰な「盛り」を施された為、オリジナル盤の良さをブチ壊すような駄盤も多々見受けられるようになった事は残念だね。


 そんな状況の中、僕が聴き込んだリイシュー盤の筆頭がこのセット(↓)。


John Coltrane -
John Coltrane - "A Love Supreme: The Complete Masters"


 このジャズ史上、いや、ポピュラー・ミュージック史上に燦然と輝く名盤中の名盤については、ここ で書いていたので読んでもらえればいいと思う。

 ここでは、"Complet Masters"とうたっている通り、アルバム・セッションでレコーディングされた全テイク、そしてその翌日にアーティー・シェップ等を加えた6人編成でレコーディングされた、以前より噂では聞いていた"Another Love Supreme"を耳に出来るようになった。

 まぁ聴いた印象としては、やはりオリジナル盤が一番良いという事に落ち着くワケだけど、この歴史的セッションを紐解いた意義は大きいと思うんだ。

 つまり、それだけ研究対象としてすぐれたアルバムだったという事。

 で、結局の処、何だかんだ言っても全てのテイクを通して聴いてしまうという事が多かったのも事実でね。

 ここではこの歴史的名盤に敬意を表して敢えて音源はアップしない。

 つまり、自分で購入して聴きこむべしという事だよ。


 そして、僕にとって今年一番の収穫-----上記の全てのアイテムを遥かに凌ぐ程の-----がこのセット(↓)だったんだ。


Frank Zappa & The Mothers -
Frank Zappa & The Mothers - "Roxy: The Movie"


 やっぱり、全盛期のザッパ&マザーズはとんでもなく凄かったという事を再確認させてくれたアイテムでね。

 元を辿れば、1974年リリースの"Roxy & Elsewhere"という2枚組ライヴ・アルバムがあってね。

 この時期のマザーズは、後にエレクトリック・ジャズの分野でスターになったキーボーディスト=ジョージ・デュークやフィル・コリンズ絡みでスーパーバンドになった時期のジェネシスでセカンド・ドラマーを務めていたチェスター・トンプソン等3人の黒人ミュージシャンを含んだ、ツワモノ揃いの歴代バンドの中で最もファンキーな時代でね。

 実際、この時のラインナップが歴代バンドの中で一番好きなラインナップなんだ。

 そこに、ザッパが得意としていたマリンバ、ヴィヴラフォンをフューチャーした演奏するのに超難易度が高い曲を担うのにルース・アンダーウッドが参加していたワケだ。

 兎に角、見て頂くしかないね、これは。

 世の中は斜めからクールに見て笑い飛ばしてたザッパの歌詞や台詞も実に丁寧な日本語訳を付けられていて、そこに絡む変拍子といくつものパターンのリズムとファンキーなジャズ・テイストの演奏も物凄く興奮する。

 こんな高度な「総合芸術」を"アンダーグラウンド・シーンのエログロのワケの分からないシロモノ"と決めつけて逃すのはとてつもなく惜しいね。

 耳を鍛えているリスナーが聴けば、意外とマハヴィシュヌ・オーケストラやサン・ラ、ローランド・カーク辺りの隣の庭に存在する音楽という事が理解出来るはずだ。

 因みにこのセットには、"Roxy: The Soundtrack"とタイトリングされたCDも付属している。

 若い頃に死ぬ程聴いていた"Roxy & Elsewhere"の音や台詞等が何を意味していたのかもよく理解出来た。

 間違いなく今年のベスト。

 ここでは予告編(↓)をアップしておく。



Frank Zappa & The Mothers - Roxy: The Movie (Trailer)


 さて、最後に紹介するのはこのセット(↓)。


Fleetwood Mac -
Fleetwood Mac - "Tusk [Deluxe Edition]"


 多くの人が70s以降のウェスト・コーストに本拠を移したマックを所謂「産業ロック」と見なしているのはよく知っている。

 でも、耳をもっと鍛えたらって言いたいね。

 勿論、僕もピーター・グリーン時代をこよなく愛していてね。

 が、このバンドの本質を見極めると、そこには常に"楽曲重視"の視点を見出せるはずだよ。

 それは、ピーター・グリーン脱退後(丁度シド・バレット脱退後のピンク・フロイドと同様)に如何にして今後バンドを運営していくのかに腐心した"曲を書けない"リズム・セクション=ミック・"フリートウッド"とジョン・"マック"ヴィーの一貫したポリシーだったとように思える。

 故に、良質の曲が書けるソングライターを見つけてくる感覚が研ぎ澄まされたんだろうね。

 特にメガ・セールスを誇ったリンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックス加入後を僕はまったく「産業ロック」とは思えない。

 だって、いい曲を満載した、創意工夫を凝らしたギター・トラックを含む素晴らしいアルバムばかりだもの。

 ロック・ミュージックをマニアックに聴いたり、左翼的 or 反抗的なスタンスの発露="恰好付けの世界感"としか見なせない人は悲しいね。

 それは、音楽的・芸術的な意味で、ロックを"カウンター・カルチャーというムーヴメント"で捉えて浴びたジョン・レノンと"色んな種類の素晴らしい音楽の一形態"と捉えて自分の資質を磨いたポール・マッカットニーの双方の70sを見ればよく理解出来る。

 因みに、ジョンのリリースしてきた全ての曲を所有している程度のファンでもあるんだよね、僕は。

 さて、横道に逸れちゃったけど、この1979年にリリースされたアルバムは、ビートルズにおけるホワイト・アルバムに位置するモノだと感じてきた。

 ここでは、前作・前々作での聴き易いウェスト・コースト風ポップ・ロックから突如としてある種のミニマル・ミュージック的実験的作風の領域に踏み込んでいる。

 それを主導しているのが自宅スタジオでのワンマン・レコーディングによる実験作を多数持ち込んできたリンジー・バッキンガムだ。

 ある特定の簡素なフレーズの繰り返しは、ある意味、当時最先端の音楽を創造していたトーキング・ヘッズとブライアン・イーノの影響を受けているのだろうと思う。(それは結果的にアフリカ音楽に接近したモノになった)

 リンジーという人はギターの音色をダルシマーのような音に加工してシーケンサー的なフレーズで羅列してバッキングに置くような工夫を凝らすような部分を聴いても、単なるポップ・ロック系のミュージシャンではないんだよね。

 そこには、ブライアン・ウィルソンからバーズ、バッファロー・スプリングフィールドと流れてきた60sの偉大なウェスト・コーストの先鋭的音楽を若い頃にまともに食らって影響されたような痕跡を感じてしまう。

 その上、フォーク・ミュージックや50sのロックンロールもよく知っている。

 それにプラスして、僕が最も愛する白人女性シンガー=クリスティン・マクヴィーのどこかアルバート・キングに似たスモーキーなボーカルと簡素な美しさを持った曲が加わったのがこのアルバムの核にある。

 まぁ、スティーヴィーはよく検討しているといった処だね。

 リンジーの猛烈な実験精神の熱にクリスティンもスティーヴィーも影響されたのか、共にそんなミニマル風味の曲を提供している。


 さて、随分と長文になったけど、今年読んだ本で印象に残っているモノを少しだけ紹介して今年の総括は終わりたい。


・「スタジオの音が聴こえる」 高橋健太郎著

 これは実に素晴らしい本だ。

 ポピュラー・ミュージックの歴史にその名を刻んだ様々な名スタジオとそれにまつわるエンジニアや機材等のストーリーをまとめた内容でね。


・「ジェフ・ベック: 至高のギタリスト」(上)(下) マーティン・パワー著

 ベックの伝記本で、上手くまとめられており、読み応えもある。

 ただ、この種の伝記本によくあるような、すべて主人公が最高といった著者のスタンスが鼻に付く部分もある。


・「細野晴臣 録音術」 鈴木惣一朗著

 これはある意味上記の「スタジオの音が聴こえる」の日本版のような感じでね。

 僕が唯一日本人ミュージシャンの中で天才と思っている細野さんの全てのキャリアから選りすぐった名盤群をレコーディングしたエンジニア達へのインタヴューを基本にしてそれぞれのアルバムやそれにまつわるスタジオ、機材、音作りの過程等を解き明かす試みの本。


・「昭和天皇実録」の謎を解く

 今年出版された「昭和天皇実録」から昭和天皇と昭和史を読み解く解説本


 まだまだここに書けない程の大量の本を読んだ一年だったけれど、やはり本というのは素晴らしい。

 読めば読む程、人生のあらゆる局面-----難しい仕事の局面、詞作の局面、人と交わる局面等-----において財産となる。


 では、2015年も押し迫ってきたけど、今年はこの辺りでペンを置きます。

 また来年も宜しくお願い申し上げます。

Be Real, Not Fake, Folks!! (ニセモノではなくホンモノになれよ、みんな!!)

クダラナイママゴト

2015-12-15 (Tue) | 19:52

 今年は特に左翼的"市民運動モドキ"に強烈な違和感を覚えた一年だったね。

 全ての人とは間違っても思わないけど、"市民運動モドキ"=フェス(≒お祭り騒ぎ)に参加して高揚感を憶えたい、又は流行のモノを一目見てみたいという野次馬根性の発露現象に見えなくもなかったという事。

 なんだかよく知らない-----知りたくもない-----が、SEALDsなんていう連中の"ママゴト"がメディアを賑わせたよね。

 僕はガチガチの右翼は大嫌いだけど、"ママゴト"やってる左翼は更に環を掛けて大嫌いだ。

 大体、安保法や憲法改正や小さな政府に反対するのは100年早いのでは?っていう感想しか湧かない。

 つまり、親が懸命に働いて蓄えたお金で大学まで通わせてもらっている身分の者が、企業の経済活動を妨げるような上記のようなスローガンを喚いているのが下らなさすぎる。

 そうやって親のお金を共産党や民主党のような連中に貢いでいるようなものだよ。

 で、結局そうやって卒業して企業に就職して真逆のイデオロギーに転換せざるを得なくなるのがオチだ。

 要するに、どうして学生がそんな運動に身を投じる事が出来ているのかというと、企業の経済活動をベースに税金という形で国家に貢献しているおかげで社会が他の国に比べて比較的安定しているからではないか。

 もう既に結果は出ているではないか。

 60年代安保の頃の学生こそが今現在の政治・経済社会のトップに"成り下がって"いるではないか。

 でもあの当時のような余裕は今の日本にないのは誰もが知っているではないのかな。

 だって、中国がイヤらしい行為ばかりしているのを喜んでいる国民なんてのは見た事もないしね。

 ミュージシャンの坂○○一や作家の大○○○郎も同じ。

 そんな安定した社会と経済活動が保たれているがこその芸術なのでは?

 だって、食うに食えない世の中には芸術は必需品ではないでしょう?

 述べてきたような理由で左翼ごっこにはうんざりしている。

 丁度70sのジョン・レノンのくだらない平和運動のカッコツケの世界を更にクダラナくしたレピートを"強制的"に見せられているように........


カッコウつけるのなら、もっと違う方法があるはずだ。

マネしない、つるまない、善人ぶらない、人と違う価値基準を持つ、一匹狼で行く。

僕は、集団の中での居心地を悪く感じる人にこそ共鳴するね。


 That's All, folks

禁じ手?

2015-12-06 (Sun) | 15:43

 ウーム、何だかなぁ~

 それって禁じ手じゃないの? って思っちゃったよな。

 それは.....最近話題のジェフ・リンのジェフ・リンズELO名義のニュー・アルバムの事。

 つまり、こういう事だ。

 例えば、今、ポール・マッカートニーが自らのニュー・アルバムを「ポール・マッカートニーズ・ビートルズ」なんて名義でリリースしたら皆どう思う?

 要するに、内容的な感想以前にその名義に対して猛烈な違和感を持ってしまうというワケだ。


 僕にとって10代終わり頃に出会った名ブリティッシュ・バンド=ザ・ムーヴっていうのは今現在に至ってもしょっちゅう聴き直しているビートルズ並みに影響されたバンドでね。

 もっと言えば、「芸術的」な意味-----音楽的内容の良さという意味-----において最もビートルズに近づけたバンドだったと思っているんだ。

 では、そのザ・ムーヴの初期~中期のほぼ全ての曲を書いてギターを弾き、数多くのリード・ボーカルもとっていたロイ・ウッドというフランク・ザッパやトッド・ラングレンと並び称されるべき天才ソングライター &マルチプレイヤーが同郷のジェフ・リンを後期ムーヴに誘い、その延長線としてムーヴから移行して行ったのがELO(=エレクトリック・ライト・オーケストラ)だったという史実からすると、上記のようなポールがソロ・アルバムをビートルズの名を使ってリリースするという例えは間違っているだろうか?

 そもそもロイ・ウッドっていう人、ここまでのマルチ・プレイヤーはこの僕でも他に知らないという壮絶レベルな人でね。

 ボーカル類やギター、ベース、キーボード、ドラムス何て言うのは当たり前レベルであって、ホーン類、ストリングス類、挙句の果てにはバグ・パイプなんていうのまで演る。

 その事からも分かるように、後期ムーヴにおいて既にELO前哨戦的な曲でストリングスを演奏していたのも彼だし、勿論ELOのデビュー・アルバムにおいて通常の4リズム系にプラスしてストリングス隊の一員としても演奏している。

 僕は決してジェフ・リンの功績を過小評価している者ではない-----と言うよりジェフの関連した全ての曲を聴いてきた者だ-----が、僕の耳と見識からするとどう考えてもロイ・ウッドこそがELOのほぼ全てのコンセプトを実現したミュージシャンとしか思えない。

 勿論、デビュー・アルバムだけで脱退したロイ・ウッドの後を引き継ぎ70sの巨大アリーナ・ロック・バンドとして成功させたのはジェフの功績だったのも事実だから、一般大衆にとってのELO=ジェフ・リンというのも事実だ。

 故に、ジェフが今回のソロ・アルバムをジェフ・リンズELOという名義にしてもほとんどの人は違和感を覚えないだろう。

 又、結成までの経緯こそあれど、一貫した主要メンバーとして在籍していたのもジェフなワケだから、今回のケースってこれまでの様々なパターンから思い起こせば一昔前にトニー・アイオミが1986年にリリースしたソロ・アルバム "Seventh Star"がブラック・サバス・フューチャリング・トニー・アイオミという名義だったケースと似たパターンだとも思う。


 でも、近年は目立った活動を聞かなくなったロイ・ウッドの事を忘れたくはないね、僕は。

 だってロイの方が数段上の曲を書き、数段上の演奏能力を持ったミュージシャンにしか思えないんだ。

 よって、もしジェフにそのようなロイに対するミュージシャンとしての尊崇の念があれば、今回のような名義を使って欲しくなかったね。

 肝心のアルバムの音は.....それなりのクオリティを維持した良盤であるのは間違いないけど、相も変わらない60点位の出来の曲が並ぶ程度のモノでした。

 で、晩年のジョージ・ハリソンの縦乗りっぽい8ビートのスゥイングしないサウンドってやはりこの人の影響があったんだっていう事が再確認出来た事位だったね、収穫はね........

 まぁ、例の如くピアノの4部弾き(=レット・イット・ビー・パターンと言えば分かるでしょう?)と上記のようなハネない8ビート・パターンの見事な2本立てブリって書けば、好きな人には「安定の出来」と言う肯定的な評価も分からなくもないね。

ありがたい話

2015-12-02 (Wed) | 20:11

 世の中は、色んな関わり方で様々な人々と関係しながら時間が流れている。

 5年前にくも膜下出血で「あの世」の手が届く処に行ったこの僕に、今でもステージの依頼を熱く依頼して頂く人もいる。

 そして又、もう「用済み」だと言わんが如く自分の狭い"ニセモノの世界"に逃げて行った人もいる。

 病を得て音程をヤラれた僕にステージに立ってもらいたいという声を届けてくれる方には、僕の「いい時期」を見て頂いた記憶があり、それに基づいたオファーなんだろうけど、それを考えると物凄く胸が締め付けられる。

 故に、少しの間ステージに立っていた意味があるっていうものだ。

 その間、「ロック」としか言いようがない"アコギ弾き語り"を長尺ジャムのよう形態で演ってきた僕にいまだアンコールのように声を掛けて頂いている事に涙がでる想いでね。

 ついさっきもステージの依頼があってね。


 でも......ステージに上がる以上、見ている人を皆殺しする位の狂人の如くのヘヴィな音を出すのが僕が考える僕なりの「基準レベル」でね。

 退院直後の頃に比べ、大分音が取れる感じが戻って来てはいるけど、オーディエンスを「皆殺し」にするあの頃のレベルではなくてね。

 よって、今の処ステージには戻れないという結論に至る。

 でも、本当にありがたく思っているので、そんなオファーをお断りするのは断腸の思いなんだ。

 その分、ここ柳川の若い連中がレベルアップしてあちこちでいい音を出すシーンを夢想したりする。


 どうもありがとう。

 こんな僕に今でも声を掛けて頂くあなたこそ、僕の後を引き継ぐのにふさわしいミュージシャンではないのかな?

 今日はとりとめのない話でごめんね。

Be Real, Not Fake, Folks

齢50にして思う

2015-12-01 (Tue) | 20:14

 今年とうとう50の大台に突入してしまったんだけど........

 何だか高校生の頃から感覚が変わってなくてね。

 勿論、この歳になると世の中の「大人の事情」に関わる裏表もそれなりに理解しているワケだけど........

 そこが理解出来てなけりゃ、浮世の仮の姿=中小企業の営業職&中間管理職なんて勤まらないものね。

 でも、10代初め(≒小学校の終盤)に取付かれた「音楽のマジック」に今だに取付かれている。

 そんな「音楽のマジック」に付いて唄った有名な曲を今日シャフル中のiPodで超久しぶりに聴いてね。

 それはこの1965年ヒット曲(↓)でね。



The Lovin' Spoonful-'Do You Believe In Magic'


 1965年というと僕が生まれた年=昭和40年だね。

 僕はこの曲が収録されたリイシューCDを聴きたくて21歳の時にCDプレイヤーを購入したんだ。

 この曲は1965年にTop10ヒットになった彼らのデビュー曲でね。

 上のTVショーの動画では、メイン・ソングライター兼リード・ボーカリスト、リズム・ギタリストのジョン・セバスチャンがオート・ハープを弾きながら唄っているよね。

 最近はこのオートハープっていう楽器もめっきり見なくなったけど、昔はナッシュビルのカントリー系の人がよく弾いていたし、国内フォーク系の連中も時々弾いていたのを憶えている。

 色んな人が色んな事を僕に対して言うけれど、結局の処、僕にとって偉大なる音楽がもたらす真実と感動より信じられるモノは存在していない。

 だから、古い歴史的音源を深く探求しながらと同時に、新しい現在進行形のモノにも目配せする事になる。

 そんな音楽がもたらす真実と感動をたった一握りでもこの手のひらから零したくないんだよね。

フェラ・クティ再訪

2015-11-29 (Sun) | 14:08

 最近、何度目かのマイ・ブームが来てフェラ・クティをよく聴いている。

 所謂アフロ・ビートっていうヤツだね。

 この人の全盛期=70sのアルバムは国内盤がCDでリイシューされた時に飛びついたクチでね。

 が、最近は何故かここ柳川のTsutayaにも置いてあったりする。

 CDだとあまり意識しないと思うんだけど、当時のヴァイナルだとA面=1曲、B面=1曲の計2曲収録という形態がほとんどなんだ。

 そこから簡単にイメージ出来るように、反復のリズムを主体とする長尺曲が片面=1曲いうパターンでね。

 彼のそんなサウンドを聴いていると色んなトピックが思い出される。

 まず押さえておきたいのが、60s後半から始まったジェームズ・ブラウンの「リズム革命」=ファンクとそれに絡んだ当時のムーヴメント=「ブラック・パワー」の凄まじい影響力だ。

 この時期アメリカに滞在していたフェラもそうだけど、同時期にはボヴ・マーリーも滞在していたよね。

 結果両人共その音楽性が変化したっていうワケ。

 が、映画「ソウル・パワー」になってよく知られており、ボクシング・ファンにも有名な「キンサシャの奇跡」(=モハメド・アリ VS ジョージ・フォアマンの名試合)がザイールで1974年に開催された時にアトラクションとしてコンサートを開いたJBや同行していたバックバンド=JB'sが今度はアフロ・ビートに影響されてそのリズムを進化させて行ったなんて話も聞いて事がある。

 あと、70sロックのキー・パースン=ブライアン・イーノがフェラのリズムに物凄く影響されていた結果、プロデュースしたトーキング・ヘッズの当時の名盤="Remain In Light"がニュー・ウェイヴ+アフロ・ビート=ホワイト・ファンクという当時最先端の動きを見せていた事も思い出されるね。

 あと、フェラって一夫多妻を実践して30名弱の奥さんを囲ってナイジェリア内に「カラクタ共和国」なるコミューンを作っていて反政府的言動により政府と抗争していたのも有名。

 写真をみるといつもパンツ一丁みたいなのばっかし。(笑)

 本人はサックスをよく吹いていた関係か、その音楽構造は基本リズムの反復の上にホーン・セクションのリフやエレクトリック・ピアノ(僕にはRMI製エレピの音に聞こえる)やサックスのソロが出たり入ったりしながら十分に温まったらフェラ自身のボーカルとコーラス隊(これは奥さん達ではないかと思う)のコール&レスポンスで最高潮に達するという感じだね。

 その間、ベースやギター類はJB'sと同様に決まったリズム/リフをクールに反復している。

 つまりある意味、ハウスのような現在のクラヴ・ミュージックと似た構造という事でね。(要するに基本リズムの反復の上に幾つかの上モノが出入りして展開を付けるという方法論だ。)

 そのリズムの良さを理解出来たら抜けられなくなる作用が大。


 では、彼の最高傑作としてよく挙げられるこの曲(↓)をアップしておこう。



Fela Kuti & The Afrika 70-'Zombie'


 ゾンビっていうのは政府の事らしいくて、やはりこれも政府糾弾の曲のようだね。

 では今日はこの辺で Bye, Folks

久しぶりのお宝

2015-11-28 (Sat) | 19:50

 暫く忙しくしていたものでなかなか行けなかった中古盤屋さんに先日久しぶりに行ったんだ。

 いやはや凄く良い獲物(↓)を獲得を出来たものだ。


最近購入した中古LP '15.11.28
最近購入した中古LP


1) Maria Muldaur-"Waitress In A Donut Shop" (左上)

  1974年リリースのセカンド・ソロ作

  リプリーズ(≒ワーナー)での芳醇なアメリカン・ミュージックの極めつけのようなアルバムだね。
     
  アラン・トゥーサンやスキップ・ジェイムスなんかの曲が取り上げられている。

  例の如く、この辺りのウッドストック・コネクション(ex. ポール・バターフィールド、ローウェル・ジョージ、ドクター・ジョンetc)がバックアップした悪いハズがないトラックにオールドタイミーな彼女のボーカルが乗ってて最高だね。

2) Dave Mason-"Let It Flow" (右上)

  元トラフィックのデイヴ・メイスンのまだ好調な頃の1977年の佳作。

  ソロ初期のスワンプ風からこの時期は時代もあってか結構「ライト・アンド・メロウ」(何だか古い言い方だが)な感じの作風に変化しててね。

  大体、70s初期に人気があったウェストコーストを中心としたSSW達はみんなギター/ピアノ弾き語り主体のサウンドから70s中盤辺りからシンコペートしたリズム+オシャレなエレピやジャズ風味なギターっていう感じのサウンド志向に変化して行ったよね。(結果的にその手合いの連中が70s後半~80s前半に流行ったAORにスライドして行った)

  何だかこの辺りのこの人のアルバム聴いていたらネッド・ドヒニー聴いてるみたいで気持ちいい音だね。


3) Herbie Mann-"Memphis Underground" (左下)

  これは随分と前から欲しかった1枚でね。

  このアルバムは後に言う処のエレクトリック・ジャズ(フュージョンという呼び名は一部の国産"唄の無い歌謡曲"を思い出させて死ぬ程嫌いで僕は使わない)を演った1969年の南部録音作(トム・ダウドのプロデュース+エンジニアリング)でね。

  つまり、マイルスの"Bitches Brew"もレコーディングは同じ1969年なんだからこの音はかなり早いよね。

  南部のミュージシャンが出す丸くシンコペートする音が最高だよ。


4) Bo Diddley-"20th Anniversary Of Rock 'N' Roll" (右下)


  これはオリジナル盤とジャケットが変えてあるから分かり辛いのだけど、1976年作。

  70sのボ・ディドリィは誰も見向きもしないのだろうけど、実は重要作が幾つかあるんだよね。

  もともと50sのスターの中では一番ファンキーな感覚を持ってた人だと思うけど、70sになると超ファンキー+ブラック・ロック的なフィーリングの作風に移行していてかなり見逃せない。

  で、このアルバムでは何とリズム隊がボガード&アピスでその上キース・ムーンも叩いてる曲もある。

  ギタリスト群は、レズリー・ウェスト、アルヴィン・リー、エルヴィン・ビショップ、アルバート・リー、ロジャー・マッギン参加という更に物凄いメンツになってて、おまけにビリー・ジョエルまでもキーボードで参戦している有様。

  ずばりかなり良作。


 コレだから中古盤屋さんは要注意だね。

 大量の歌謡曲やベイ・シティ・ローラーズ、ノーランズ、国産フォークの谷間にこんなお宝が数百円~千円代で眠っているだから........

アラン・トゥーサンの思い出

2015-11-22 (Sun) | 23:13

 思い起こせばあれは1988年7月ではなかったろうか?

 僕は一部上場某楽器メーカーの営業として社会人1年目の夏の事だったと思う。

 当時の僕は千葉県松戸市という東京都と千葉県を分けている江戸川沿いの千葉県側に住んでいたんだ。

 川を渡ればそこは葛飾区で、水戸街道=国道6号線沿いのマンションに住んでいた僕にとって都内は車で4~5分という感覚だったんだけど、それはあくまでも葛飾区を対象とした話でね。

 そんなある日、音楽誌かラジオでか情報をキャッチしたんだ....."あの"アラン・トゥーサンが来日公演するって事をね。

 場所は確か青山にあった青山CAYっていうハコだったと思う。

 このハコは今でもあるんだろうか?

 ここは結構時間が掛かるんだよね、松戸からは.....

 あの頃はまだ南青山に伝説的レコード・ショップ=パイドパイパーがあったので時々は青山に通っていたんだ。


 昨今のスーパースター達によって繰り広げられるドーム饗宴とは違い、言ってみればビルボード○○やブルーノート○○のような感じの広さのハコで直ぐそこで演奏し唄っている"ライヴ"な感じのハコでね。

 その半年~1年前(=大学4回生の終盤)という直近に我が日本が誇るブラック・ミュージックのリイシュー・レーベル P-Vineから大量にリイシューされたニュー・オーリンズ R&Bやファンクを貪るように聴いていた当時の僕にしてみれば実にタイムリーな話だったんだよね。


 彼は、50sに最新のサウンドとトレンドの中心地であったニューオーリンズに代わり1964年のビートルズのアメリカ征服以来、インクリッシュ・アクセントと長髪、小規模なギター・バンドが世界を席巻していた(=ホーン・セクションが入る大人数のニュー・オーリンズR&Bはヒットしにくくなった)中、芳醇なニューオーリンズの伝統を受け継ぎ、メンフィスのスタックス辺りのサザン・ソウルと交差し、シンコペーションを効かせたファンキーなタッチを全面に押し出し70sに繋がる新しいファンクを創造したソングライター、ピアニスト、そしてプロデューサーとして60sから70sに相当数のヒットをモノにした天才だった。

 そして70sには白人ロッカーを中心として相次いだ「ニュー・オーリンズ詣で」の中心人物でもあった。

 彼のスタジオはシー・セイント・スタジオし呼ばれていた。

 そこを訪れてレコーディングしたミュージシュンはかなりのモノだった。

 例えばポール・マッカートニーのウィングス時代の傑作= "Venus And Mars"やロバート・パーマーのデビュー・アルバム(このアルバムはミーターズにローウゥル・ジョージが乗っかったという夢のようなバンドがバックアップしたいたね)、ドクター・ジョンのファンキーな名作="In The Right Place"(これもバックはミーターズ)、イギリスのフランキー・ミラーの渋いホワイト・ソウル="High Life"、アルバート・キングの"New Orleans Heat"、James Cottonの"High Energy"なんか有名だ。

 それとザ・バンドのライヴ盤"Rock Of Ages"収録の'Life Is A Carnival'のホーン・アレンジなんかも有名だったね。

 そして忘れられない歴史的名盤リー・ドーシーの"Yes We Can"(このアルバムを聴きこんでリトル・フィートはあんなファンキー路線になったと思われる)と自身の"Life, Love And Faith"や"Southern Nights"といった傑作ソロ作も素晴らしかったね。

 僕は幸いな事に、仕事が終わり次第急いで松戸から青山に駆け付けたお陰でこの目でしっかりと見れたんだ。

 それはピアノ弾き語りスタイルのステージであった故、彼のあの歴史が詰まったピアノのサウンドを全身に浴びる事が出来てね。


 そんな彼がつい数日前に逝ってしまったね。

 これでまた一つの歴史が失われてしまった。


 彼のソウル系の仕事の芸術的ピークは60s半ば~70年位だったと思う。

 そんな中で僕が大好きなのは1966年の有名なヒット曲であり、ヒップホップのサンプリング・ネタとしても有名なこの曲(↓)を紹介しておこう。



Lee Dorsey - 'Get Out Of My Life Woman'


 この曲のイントロのドラム・ブレイクは相当にサンプリングされたよね。

 又、ジョン・レノンも'Bulldog'で「サンプリング」していたよね?

 分かる人は気付いていたという話なんだけど.....

Still Recording

2015-11-22 (Sun) | 21:28

 いまだレコーディングの日々が続いていてね。


Chocolate Flower Studio #5
Vocal Recording at Chocolate Flower Studio #5


 最近少しづつボーカルやコーラスを録ったりしていてね。

 これがやはり病の後遺症もあり大変なんだよね。

 随分とリハビリ-----と言っても車中でiPodの音楽に合わせて唄っているだけだが-----お陰か多少は音程が採れるようになってきたんだ。

 現在3~40分程度の音がマスタリング込みで仕上がってきた状況。

 このままのペースで行くと次回作=Sound Sailin'も例の如く2枚組になりそうな感じでね。

 今回は40年に渡るこれまでの音楽体験やソングラテイィング、アレンジ、演奏、エンジニアリング技術を集大成した(自分で言うのも何だけど)一大傑作になると思う。

 時々本ブログでも書いてきたと思うんだけど、ミュージシャンと自称する者であるのなら、常に「過去の偉大なる瞬間」=ポピュラー・ミュージックの歴史を勉強し反芻し、と同時に、現在進行形のリアルタイムな音の両方を追うのと両立する必要があると思う。

 昨今の若い連中のように自分の好きな新し目なごく狭いジャンルのみを至近距離で追う事だけに傾注していると本当の音楽的力量と見識は身に着かないし、とは言っても、4~50代以上に顕著なように古いモノしか聴かないというのも現役感が無さ過ぎるよね。

 今回の傾向はと言うと、元々のベースに有ったギター・ロックやハード・ロック、ファンク等に回帰しつつ、エレクトロニカ等の新世代の音響系サウンドも取り入れていたりするんだ。


 プリンスやXTC、ケイト・ブッシュ、トーキング・ヘッズ位しか心底入れ込むような音楽が無かった「暗黒の80s」から、ヒップホップの革新、そしてそれを通過した時代にこそ産まれ得たベックやレディオヘッズなんかを聴いていると、今の時代だからこそ、「過去の歴史」と近未来を統合した重厚感溢れる「ベスト・オブ・ベスト」的な音楽が出てきてもおかしくないと思うし、又、それを自分の手で作ってもみたくなる。

 まぁ、おんまり大袈裟な事を書いてもいけないので、折々に進行状況をレポートしていきます。



How To Start Recording

2015-10-10 (Sat) | 14:40

 今日もまたまたCubase Pro 8へのヴァージョン・アップに関連した各種設定とソフトのインストール作業に追われているんだけど........

 ちと疲れたのでこの辺で休憩がてらに記事を少し書こうと思ってね。


 ここでは僕の標準的レコーディング・スタイルに関して書いてみようと思う。

 まず基本的にレコーディングを始めるに当たって曲をそれなりの段階まで書きあげている事が重要でね。

 勿論、曲中パートのレピート回数や細かな部分が仕上がっていない事もあるけど基本的に曲のほぼ全てに近い処まで書けているという状態が僕のデフォルトだ。

 だって、レピート回数なんていうのはCubase上で後でどうにでもなるけど、ハーモニー(≒コード進行)や基本リズムを後で差し替えるのは大変になるもの。

 よって、昨今の「自称」ミュージシャンのようにリズムやコード進行の断片を1~2小節作ってそれを取り敢えず録ってからそれに適当に何かのフレーズやサンプルを乗せてエフェクトをこねくり回して"曲らしきモノ"を"デッチ上げる"ようなやり方はしない。

 ごく稀に、そんな風なサンプリング主体の曲をレコーディングしたくなった場合の時のみその手の手法を採る事はあるけどね。


 そうしてまずリズム・パートから録り始める事が多い。

 最近は僕が直接ドラムスを外で録る事はほぼゼロなわけなので、基本的にドラム音源ソフトを使ってプログラミングするんだ。

 この時昨今のドラム音源に付属している「駆け込み寺」機能の1つであるプログラミング済のドラム・パターンをそのまま貼り付けて使う事はまったくしない。

 あくまでも自分が叩いているフィーリングをプログラミングする。

 その基本ドラムの上に各種のパーカッションやフィルインのプログラミングやサンプルをレイヤーしていくのが次の工程なんだよね。

 この時点でベースを録るワケなんだけど、これは曲が求めているサウンドによってケース・バイ・ケースではあるけど、自分でフェンダー・ジャズベースをフラット・ピッキング(フィンガー・ピッキングは出来ない)して録るかシンセ・ベースをプログラミングして録るかのどちらかだ。

 その後、リズム・ギターやピアノ類といったコード担当のパートを録る。

 この辺りはギターなら全て手弾きだし、鍵盤類は手弾きとプログラミングが混在したりする。

 この時点でバッキング・トラックは完成しているわけなんだけど、僕の場合変わっているのはここでコーラス関係を録ってしまうという処だよね。

 つまり、カラオケにコーラスが乗った状態のトラックをモニターしながらリード・ボーカルやリード・ギター等のソロ関係を録ってレコーディング終了となるっていう事。

 リード・ギターやソロ関係はトラックが出来ていればどの時点で録っても可笑しくないわけなんだけど、普通、コーラスはリード・ボーカルが録られているのをモニターして録るモノだから僕の方法はちと変わっている。

 それは本来ボーカリストでもなんでもない僕にしてみると、ブライアン・ウィルソン並みの複雑なコーラス・パートを1人で重ねて構築するにはリード・ボーカルをモニターしていたらそれが難しくなるからなんだ。

 要は"つられて"しまうつていう事でね。


 ざっとこんな感じなんだけど、実の処、根本的にレコーディングの進行方法がもっと変わっているだよね。


 昨今のレコーディングの現場で使われているDAW(僕の場合はCUbase)のトラック割りを業界誌等で見る機会がよくあるわけなんだけど、最近は1曲で数10トラックやモノによっては100トラック以上使われているケースもあったりするのが普通でね。

 僕の感覚では、そんなおびただしい数のトラックを横一線に並べてせーのでミックスするなんていうのはとてもハードな作業であり、いくら時間があっても足らない位に複雑怪奇な膨大な作業と根気を伴うミックスになるはずなんだよね。

 そんなミックスは僕にはとても出来そうにもないし、また、そこに時間と根気を傾注するよりはもっといい曲を書いて演奏したいという気持ちの方が強いんだ。

 そこで、僕が採っている方法は、1つのプロジェクト(昔で言うならテープ)では8~10トラック程度しか録らないというやり方なんだ。

 つまり、その8~10トラック録った時点でそのトラック数での最終ミックスをしてしまうという事でね。

 大体の処、リズム関係とコード関係のみのミックスとなる事が多い。

 次に新しいプロジェクト(昔で言うとテープ)を立ち上げてそこにNo.1-2トラックに先程のミックスを取り込み、またそこから必要なモノを録って行き、ここでも8~10トラック程度になったらこの時点の最終ミックスをするという事。

 そんな1つのミックスを次のベースとして音を重ねた上でミックスし続ける方法が僕のデフォルトのレコーディング手順にワケだ。

 この方法だと、少ない音に集中してミックスが出来る上、デジタルならではの音質劣化ナシのまま、幾らでも好きなだけトラックを重ねていけるという事だね。

 但し、デメリットもある。

 そんな風に最終的な全部の音が出揃う前からある意味「仮ミックス」を作っては、その上に音を重ねて次の「仮ミックス」をするといった方式なわけだから、最終ミックスしてみたら、何かの音が聴こえなかったり、ドラムとベースの音域が被って音質がボワボワしているなんて事も起こり得るという事でね。

 つまり、相当に完成形が見えてないととんでもなく修正作業を重ねる事になりかねないといワケだ。

 僕はレコーディングを始める時点にはほぼ完全に仕上がったCDやレコードの音が聴こえている方なので、このやり方での修正はさほど多くなくて、メリットばかりのように感じる。


 ポピュラー・ミュージック史上のレコーディングに関して少しでも知識があれば、この僕の方式に聴き憶えがあるはずだよ。

 実は60s~70sに架けてよく採られた方法なんだよね。

 例えば、彼の有名なビートルズのサージェント・ペパーやビーチ・ボーイズのペット・サウンズやジミ・ヘンドリクスの多くの曲はこの方式で録られているんだ。

ニュー・アルバムの近況

2015-10-10 (Sat) | 00:20

 この処、連日連夜レコーディングに励んでいるんだ。

 特に休日なんてのは朝から晩までPCの前で過ごしている。(とは言っても、今回はギターとベースをマニュアルで演奏する曲がほとんどなので、椅子に座って、時にはストラップで肩から下げてスタンディングでいる事も多し)

 先日のシルヴァー・ウイーク中なんてずっとレコーディング三昧だったくらいでね。

 今回のアルバム=Sound Sailin' では2010年にくも膜下出血で「あちらの世界」を見た後にボーカリストとして障害が残った現在の僕とそれ以前の正常な時代の僕の双方のボーカルが収められている。

 そんなハンデの上に年齢と共に落ち続けるボーカルのキーの事も悩ましい。

 以前は曲を書いている時にキーの事を考える事なんて全く無かったのに........

 それはつまり、自分が感じた通りのハーモニーの中で最良と思えるメロディをチョイスする事に何の制限も無かったという事を意味する。

 それが今現在は、メロディやコーラスが唄えるかどうかを確認しながらキーを決定する必要がある。

 その時点で、オリジナルが持っていたフィーリングが変容するケースも多々あるのが事実だ。

 色んな方々も言っているように、僕もまた同じ曲でもキーを変えると「フィーリングの色彩」が変わると感じている。

 故に、曲を書く時に、書こうとする曲のスタイルや欲しいフィーリングでキーを決めているんだ。

 弟に言わせると-----今時流行のボーカロイドっていうヤツを導入したら?-----という事だった(笑)。

 それと少し関連している部分もあるんだけど、ついさっき僕のレコーディングの核となっているDAW=Cubaseを最新ヴァージョンのCubase Pro 8にアップしたんだ。

 これからソフト音源やエフェクターのインストールや環境設定等の膨大な作業をしなくちゃいけない。

 そんな中、まだ今回のヴァージョン・アップ後のレコーディング作業は行ってないので、業界誌等の情報の受け売りなんだけども、色々な面白い機能が数多く付加されているみたいでね。

 それらの機能を使いこなせば相当に高度な事や興味深い事も可能になるのは十分理解出来ている........のだが、上記のボーカロイドと同様にテクノロジーの発展と高機能付加化という事だけでは済まされないようなある種の「拒否感」を感じてしまうのも事実なんだ。

 サンプリング・カルチャーの登場以来、革命的に音楽の聴き方や作り方が変貌したのは常に「ミュージシャンとしての現役感」に拘ってきた僕とっては「歓迎し得る革命」でもあったんだけど、一方で上記のような「拒否感」をも伴うものだったんだ。

 それはテクノロジーの発展と高機能付加化が、ここ柳川を含めた各地域のプロ・アマを問わないミュージシャンと「自称」する連中の著しい音楽的技術の低下を上手く隠ぺいするカタブを担ぐような使われ方をしているしているという事実に基づいている。

 つまり、素晴らしいハーモニーやメロディ、リズムを紡ぎ出すホンモノのミュージシャン、ソングライターに「成長」する努力を長年に渡ってする事を回避する事を可能にしたある種の「駆け込み寺」のように思えて仕方が無いからなんだよね。

 例えば、今回のCubaseには自動的にコード進行を提示してくれるような機能が付加されているんだ。

 まず僕はこの機能は使わないだろうね。

 だって、どのようなハーモニー展開をするのかを考え出す事こそ、僕にとっての音楽を作る醍醐味であり、且つ、僕の音楽的技巧を提示し得る部分なんだもの。

 ソフトに決めてもらうまでもなく、死んでも自分がベストと思えるハーモニー展開を考えるよ。

 スタインバーグ(Cubaseを作っているドイツのソフト・メーカー)とその親会社に当たるヤマハが「自称」ミュージシャンの「厚い要望」に応えて付加した機能なんだろうけど、そこにはロクなコード進行=ハーモニー展開を考えつかないニセモノが割拠するシーンの廃頽を感じてしまう。

 ボーカロイドも同様。

 唄えない、ハモれない「自称」ミュージシャンの「駆け込み寺」に思える。

 故に、後遺症でまともな音程を採れなくなった僕でもその手の「駆け込み寺」機能には駆け込みたくない。

 僕も一応「自称」ミュージシャンなわけだけど、ホンモノかニセモノは僕の音楽を見識を持って聴いてもらえば判断してもらえると思う。


 色々と苦しみながら、しかし、何よりも自分の楽しみの為、日々新しいアルバムの完成に向けて努力しています。

 さてさて、Good Night, Folks

Memo from Today's Snapshot

2015-08-13 (Thu) | 19:27

 やっとお盆休みに辿り着いたね。

 息も絶え絶えで仕事に忙殺されていたからね。

 中小企業に属する人間としては、今年は何処かへ旅行に行くにはちと短い感じだね。

 よって近場で書籍を漁りにいったり、蕎麦を食べに行ったり、レコードを聴いたりっていう感じになりそう。

 で、次の新作アルバムに収録予定曲のレコーディングの続きをついさっきまでやってたんだ。

 僕にしては非常に珍しい、とある有名バンドの超マイナーな曲のカヴァーをしたんだ。

 そこでほんのちょっと登場するホーナー精メロディカ(よくレゲエに使われている例の鍵盤ハーモニカとよばれるアレ)をオーヴァーダヴィングしていたんだ。

 それに音の悪いディレイを深くかけて一丁上がりという事。

 改めて写真を撮るのが面倒臭いので、以前のレコーディング風景の写真を挙げておくね。


Hohner Melodica


 アンプの上の写真中央右辺りにメロディカが見えるでしょう?

 早く次回作="Sound Sailing" を作り上げたい。

 時間を空けると自分の中の鮮度が落ちるんだよね。

 例の如くありとあらゆる種類の音楽を混ぜこぜにしたようになると思うけど、ここ1~2年の傾向はギター・ロックへの回帰とファンクとリフの組合せ的なモノなんだ。

 さて、この休み中にもう少し励んでおこう。


 あっ、そうだ、 MiyoちゃんとKayoちゃんにも「盛り上げ用」の曲としてアレサ・フランクリンの 'Respect' の譜面を7割位書いた所でストップしていたな。

 それも早く完成させなくちゃ。

 結局の処、お盆であろうとなかろうと僕は忙しいっていう事だね。

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過去から最新のものまでに至る膨大なWizardのレコーディング・アーカイヴから その音源をありのまま ここ にアップ

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病気の後遺症の為、ソロ・ステージは引退させて頂きました。
Thanks, folks

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少しずつ整理整頓してみたいと思います。

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